振り返らぬ男

お腹の乳酸菌が足らないのか屁が臭い。休日の私は独り家でくつろいでいたのだけど、透かしっ屁をする度に臭いのでついつい「屁が臭い。」「屁が臭い。」と独り言を言っていたら、飼い犬がその都度「呼んだ？」と笑顔で私の顔に近付いてきて唇をペロッと舐めてきた。私が飼い犬に「いや、なんもないで。」と言うと、あらそうなの？って感じで私から離れるので、屁は出てないが「屁が臭い。」と言うとやっぱり近付いて顔を舐めるので、「屁が臭い！」が飼い犬の召喚呪文になってしまった。ちょっと面白くなったのでそれから「屁が臭い！」を連呼していたら今度は全く来てくれなくなった。『相変わらずウザダルい飼い主やのぅ。』って思ったに違いない。賢いヤツだ。

夕方の散歩で高貴で綺麗な犬2匹に会った。小汚いうちの犬だが、優しい飼い主さんだったので挨拶をしてくれてお互い匂いを嗅ぎあって、飼い主同士が「ありがとうございましたー！」って言って離れようとしたら高貴な犬が「いや！離れたくない！」って感じでイヤイヤしていたのだが、うちの犬は見向きもせず振り返りもせずに猛ダッシュで前だけを見て走りだした。色んな犬に対して毎回いつもこうだ。飼い主が恥ずかしいくらいクールなヤツだ。